2018年度 第3回『卒業式』を挙行しました

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『伝えること、伝えられること』

春の訪れを感じさせる暖かな晴天に恵まれた、2月23日(土)、奈良甘樫高等学院は卒業式を挙行いたしました。
創立3年目となる今年度の卒業式では、式の司会進行もOB・OGが担い、立派に運営してくれました。
卒業生代表の答辞は会場を圧倒し、私も保護者の皆さまも顔を上げることができませんでした。どの様な賢者賢人の名文も、彼女が彼女自身の言葉で、直接、直に伝えてくれたメッセージに比べることはできません。
学校は必要なくなる、教師の仕事はAIが行うようになる。このような意見があります。確かに知識や技術を教える「教師」の役割はAIでも十分かもしれません。

しかし、文字や言葉だけでは表すことのできない何か「大切」なもの「大事」なものは、古くは「先生」から「弟子」や「門人」に、今も「先生」から「生徒」や「学生」に伝えられているように思います。
今年の答辞も昨年の答辞も見事な文章でした。心に響く名文でした。出来の良い文章だからではありません。伝えたい「大切」なものが、伝わってきたから心に響くのです。先生と生徒は一方通行でも成り立たないのです。
卒業生自身が自分の卒業式の準備をするのはどうなのだろう?既成の概念にとらわれていたのは私の方でした。
今年の卒業生たちは昨年の卒業生たちと旧交を温めつつ、在校生たちと協力して式場を設営してくれました。昨年の卒業生たちは、言わば学院の4回生です。学校行事は手慣れたもので、備品の搬出から机や席の配置まで、準備はスラスラ、仕事はテキパキと進み、先生方は「私たちする事がありませんね」と慨嘆しておられました。

年次も学年もなく、転入学生、編入学生、新入学生の別もなく「相互」に「尊重」される学校であること。これは私が生徒たちに伝えたかった大切なことに他なりません。卒業生たちは皆と一緒に自分たちはもう使わない教室を綺麗に掃除して、颯爽と去っていきました。最後に式辞を掲載し、再度卒業生たちにエールを送りたいと思います。Congratulations!おめでとう!

こちらの写真は準備時の様子ですが
こちらの写真は準備時の様子ですが
すでに十分盛り上がっていました
すでに十分盛り上がっていました
今年も色紙と花束を頂きました感謝
今年も色紙と花束を頂きました感謝

卒業式当日の写真は「学校行事・活動」ページのギャラリーに、卒業生たちと保護者の皆さまからのメッセージは「卒業生・保護者様の声」のページに、掲載いただいた新聞記事は「新聞記事☆Press Release」のページに順次アップロードしていきますので、ご覧になってください。

『式辞』

卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。奈良甘樫高等学院では学院長がこうして皆さんを集めて話をするのは今日が最初で最後となります。学院も創立3周年を迎え、創立時の新入生たちが今将に卒業しようとしています。学院を開校するにあたり、理念としたのは、「自由」「寛容」「尊重」でした。そして、この理念を教える私が自分自身の言葉と行動で伝えて行くことにしたのです。従って、学院ではこの理念を石に刻んで玄関に飾ったり、額に入れて掲げたりはしていません。
学院には出席番号がありません。学籍番号はありますが、運転免許証の免許番号と同じで普段意識することはありません。私は生徒たちを記号や番号で呼ぶと少しずつ人間性を失い、名前で呼ぶと少しずつ人間性を回復して行けると考えています。自然、皆さんも名前で呼び合い、結構仲良く学校生活を送ってくれました。
古来、人類にとって船は最も重要な移動手段であり輸送手段です。宇宙船時代になってもそれは変わりなく、コロンビアとかエンデバーとか、なかなか立派な名前が付いています。船名を付ける権利は船主にあり、これは大変名誉なこととされています。船乗りにとって、船は恋人であり家族です。当然、整備やメンテナンスを欠かしません。それに応えて、船は万里の波頭を越え大海原を進みます。
人は例えそれが機械であっても、道具であっても、名前で呼ぶことで、人格を与え、相互に支えあう関係を築こうとしてきました。これを信頼関係というのだと思います。自分を番号や記号で呼ぶ相手に信頼を期待してもそれは空しいことでしょう。生徒たちの名前には美しい響きを持つ様々な言葉がちりばめられています。将に名は体を表すです。
志を立て、賢明で、類い稀なる勇気を持ち、咲き誇る花のごとく美しく、吹き渡る風のごとく爽やかであれ。天の加護を受け、海のように宏大な心で人を助け、人を愛し、人に愛され、その力を持ってすべての災いを退けよ。昇る日のごとく、輝く日のごとく、煌々と人生を謳歌せよ。
卒業生の皆さんの名前を並べるとそれだけで立派なお祝いの言葉、幸せの祝辞となります。名付けてくれた保護者の皆さまの心が伝わってくるように思います。どれだけ辛い思いをされたことか、苦しい思いをされたことか。今日、卒業証書を胸に、スーツ姿も凛々しい卒業生たちは、鏡に映る皆さまの姿に他なりません。
皆さまに育てて頂き、学院も無事3才となりました。たかが3年、されど3年です。今年の卒業式は昨年の3年生が運営し、来年の3年生、再来年の3年生と共に今の3年生を祝ってくれます。学年の垣根もなく、クラスの違いもなく、これはとても素晴らしいことだと思います。皆さまのご多幸を心よりお祈り申し上げます。
最後になりましたが、ご来賓の皆さま、そして、ご尽力頂きました慶風高等学校の先生方にも、改めて御礼申し上げ、私のお祝いの言葉とさせて頂きます。

2019年2月23日 奈良甘樫高等学院 学院長 林 賢治