2018/06/09
受験生も保護者も先生も大変だ!
キャリアデザインゼミ・入試制度ガイダンス
六月に入り、奈良甘樫高等学院・広域通信制高校慶風高等学校奈良サポートでも進学を希望する三年生の志望校選択がいよいよ決定の時期となりました。私も週末はオープンキャンパスや学校説明会に同行したり、教員向けの入試説明会に参加したりと、忙しく各地を飛びまわることになります。先週末も奈良県内の四年制大学のオープンキャンパスに参加しましたが、高校生たちや保護者の皆さんにとって最も難解なのは入試制度や受験システムのガイダンスでしょう。
この大学は2学部5学科と四年制大学としては規模が小さく、専攻コースの数も限られていますが、それでも全体説明だけでたっぷり一時間、これが大規模校になると10学部、50学科、200専攻・コース以上ある大学もざらにありますので、10種類以上ある試験方式と組み合わせ、実に1,000 種類以上の受験パターンの中から選ばなくてはなりません。3~4校併願することも一般的ですので、受験パターンも×3×4となり受験する前に疲れ果ててしまいそうです。
毎年、高校生の進路や受験に関り、あらかじめ大学入試の予備知識がかなりあっても、すべてを理解するのは容易ではありません。会場の大ホールは受験の高校生とその保護者でほぼ満席でしたが、はたしてどれだけの受験生や保護者の方がきちんと理解できたでしょうか?そもそも大学の学部や学科、専攻コースはなぜこれだけ数や種類が多いのでしょうか?
多様化・細分化される学部学科と専攻コース
私や保護者の皆さんが受験生だったころの旧大学設置基準では「学部の種類は、文学、法学、経済学、商学、理学、医学、歯学、工学および農学の各学部、その他学部として適当な規模内容があると認められるものとする」と規定され、旧制大学の学部名称が基本とされていました。受験のパターンも推薦入試と一次入試、二次入試程度でしたので、文学部や法学部、農学部や工学部と読んで字のごとく、学部名称からその教育内容が高校生や保護者にもわかりやすかったのです。
これが平成三年度に当時の規制緩和の流れを受けて設置基準が大幅に緩和され、学校の新設や学部学科が急増していくこととなります。学部名称も平成三年度以前に70種類程度だったものが現在では600 種類以上となり「どこを受けていいかわからない」との声が聞かれるようになったのも無理からぬことではないかと思います。
平成一桁代の国際や情報に始まり、サイエンスにグローバル、コミュニケーションにリベラルアーツ、メディアにマネジメントと何となく耳ざわりのよいカタカナ語が組み合わされ、かえってその学部、学科の本質が分かりにくくなっているように感じます。リベラルアーツ?大学の一二回生で学ぶ教養課程は何の為にあるのでしょうか?
大学受験や入試は現実・現実は厳しいです
とは言え受験は現実ですから、取得できる資格・免許から逆引きしたり、オープンキャンパスの個別相談で入試広報課や先生方に食い下がったりして何とか理解しようと努めていますが、毎年のように入試制度や学部、学科、専攻コースの細かな修正や改変があり、微妙な専攻やコースの違いで取得できる免許や資格が異なりますのでまったく油断がなりません。
そうゆうわけで、さすがの私もこのところかなりお疲れ気味です。高校三年生、受験生の皆さん、大学受験や進路選択は一生の大事です。入学や入校してから「しまった!」では一生の不覚です。まもなく総合型選抜入試のエントリー受付や出願が始まります。特に資格や免許が関係する場合は要注意ですので、くれぐれも留意して出願受験をしてくださいね。
編集後記・癒しは塔の上なるひとひらの雲
癒しを求めて、出勤途中にちょっと寄り道して、奈良大和路の隠れた名刹、斑鳩の里の法起寺さんへ、奈良公園や東大寺は人でいっぱいですが、週末土曜にも関わらず観光客ゼロ!世界遺産、国宝を 300円で貸し切りです。三重塔は西ノ京の薬師寺が有名ですが、我が国最古の三重塔にて、私が密かに最高のシチュエーションと思うのは法起寺さんです。本当は夕暮れ時が最高なのですが、帰りはいつも真っ暗で、シルエットを楽しむことしかできませんのでどうしようもありません。
ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲、歌人で国文学者、佐佐木信綱の有名な短歌ですが、今は再建された堂塔が林立し、観光客で混雑する薬師寺よりも、田園と里山風景の中にひっそりとたたずむ、法起寺三重塔の方がより似つかわしいと思うのですが如何なものでしょうか。暑くなってきましたので、爽やかで叙情豊かな秋の写真でどうぞ。
キャリアデザインゼミと学習活動のリンク
学院の進路指導やキャリア教育については、カリキュラム・教育課程のページと学院の特長のページをご覧ください。
卒業生による進路研究授業や卒業生スクールサポーターが先生方と協力し在校生をアシストするのも学院の特色です。
専門学校による出前授業『関西学研医療福祉学院』の先生方による理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の説明会。
厩戸王(聖徳太子)建立、奈良大和路の隠れた名刹にして世界遺産、法起寺の情報は法隆寺ホームページにあります。
2024年度(令和6年度)には、厩戸王の本拠地である斑鳩町の法隆寺や三郷町の龍田大社を含む龍田古道をメインテーマとした、亀の瀬地すべり歴史資料室・ミステリーツアー校外学習を実施、幻の旧大阪鉄道遺構の亀瀬隧道(トンネル)を幻の蒸気機関車が牽引した列車が疾走する幻想的なプロジェクションマッピングを受験の息抜きに大いに楽しみました。
古都奈良に今も残る歴史や文化財を巡る日本古代史フィールドワーク、最新の土木工学技術の粋を知るインフラツーリズム、ダークでシュールな猫好き絵本作家のエドワードゴーリー校外学習など、これまでに実施した特別活動や総合的な探究の授業記録は、学院公式ブログやお知らせページに随時紹介させて頂いております。お時間がありましたらお立ち寄りください。キャリアデザインゼミを含む学習活動の写真集はフォトギャラリーにも時系列に整理して公開しております。