校外学習「秋の奈良大和路」長谷寺と平安文学

倭し麗し!晩秋の奈良大和路・長谷寺と平安文学

隠国の初瀬「長谷寺」フィールドワーク

11月27日は秋の校外学習で初瀬の長谷寺に行ってきました。先月始まった古典読書会のフィールドワークを兼ねての実施です。奈良県桜井市の長谷寺は朱鳥元年(686年)天武天皇の命により道明という僧が銅板法華説相図を安置したことが始まりとされる名刹で、おとぎ話「わらしべ長者」の舞台としても有名です。わらしべ長者は若者のサクセスストーリーですから学院の生徒たちにも長谷観音様の霊験を期待しましょう。

今年の校外学習は京都や神戸を考えていましたが、新型コロナウイルス感染症の流行で敢え無く断念、それならば地元の奈良大和路にも見どころはたくさんあるさ!と言うわけです。学院のある大和高田市からは近鉄電車大阪線で約20分の行程ですが、移動時間を短縮するため、各々自宅から最短ルートで現地長谷寺駅に集合です。

長谷寺と平安文学|威風堂々の総門「仁王門」に到着です
威風堂々の総門「仁王門」に到着です
長谷寺と平安文学|長谷型の灯籠が実にいい雰囲気です
長谷型の灯籠が実にいい雰囲気です
長谷寺と平安文学|灯籠に灯がともると綺麗でしょうね
灯籠に灯がともると綺麗でしょうね

古くから門前町が発達した参道には、風情ある旅館や飲食店、土産物店などが軒を連ね、軽いハイキング気分で本堂を目指しますが、こんなに遠かったかな?足が重い!そう言えば、今年は外出自粛+テレワーク+移動は車=運動不足、健康に留意せよ!との観音様のお告げですね。堂々たる仁王門をくぐると長谷型と呼ばれる楕円形の灯籠が吊るされた、下中上の三廊399段からなる美しい登廊(のぼりろう)を上り、本堂舞台で記念撮影です。

観音信仰、物詣、舞台造りと言えば、京都の清水寺が有名ですが、舞台からの眺望は奈良県民の贔屓目で見ると長谷寺が圧勝です。全山燃えるような深紅の紅葉!と言いたいところですが、少し早い時期に来ましたので紅葉はやや控えめです。その分観光客もちらほらでゆったりと拝観することが出来ました。万葉集に詠まれた隠国(こもりく)の初瀬が駅のホームのような混雑では興醒めです。眼下に望む初瀬街道を東へ進むと伊勢神宮、北に三輪、石上、春日へと続く山の辺の道、この地が仏教伝来の遥か以前から神聖な場所であったことが偲ばれます。


長谷寺と平安文学|緩やかに続く優美な登廊です
緩やかに続く優美な登廊です
長谷寺と平安文学|扁額には「大悲閣」と書いてあります
扁額には「大悲閣」と書いてあります
長谷寺と平安文学|本堂の内部は厳かで幻想的な空間
本堂の内部は厳かで幻想的な空間

物詣と平安文学の作家たち

本尊の寄木造り十一面観音菩薩像は、身の丈が三丈三尺(約10m)の巨大な立像で、天文7年(1538年)に仏師運宗らによって造立されました。長谷寺は度重なる火災で他の堂塔と同様、十一面観音像も実に7度も消失しましたが、そのたびに再造を繰り返し、現在の観音像は八代目と言うことになります。十一面観音のご利益は十種類の現世利益と四種類の来世の果報とされ、深い慈悲によって広く衆生を救う仏として知られています。医学が進歩し、ウイルスによることが明らかな現代でもこの世上の混乱ぶりですので、神仏の加護に頼るしか術の無かった、当時の人々の観音信仰の深さは推して知るべしと思います。

今回の校外学習は先月始まった古典読書会のフィールドワークを兼ねていますので、源氏物語「玉鬘」(たまかずら)ゆかりの二本の杉(ふたもとのすぎ)にも立ち寄りました。長谷寺には紫式部だけでなく、清少納言「枕草子」、菅原孝標女「更級日記」、藤原道綱母「蜻蛉日記」にも登場し、王朝文学の錚々たる女性作家が挙って訪れていますので、彼女たちも参籠中に作品の構想や文章を練ったのかもしれません。


長谷寺と平安文学|スマホのバッテリーが上がりそう
スマホのバッテリーが上がりそう
長谷寺と平安文学|参道の杉玉が大和路を主張します
参道の杉玉が大和路を主張します
長谷寺と平安文学|スイーツ+女子=笑顔!完璧です
スイーツ+女子=笑顔!完璧です

今回のサプライズは「くさ福餅」

さて、これも昭和の建立ながら、今ではしっくりと風景に溶け込んだ、五重塔と三重塔跡の見学が終わると、下りですので足取りも軽やかに帰路に就きます。ここで今回のサプライズ、焼き立ての名物「くさ福餅」をどうぞ。よもぎのいい香りです。奈良甘樫高等学院は通信制高校ですので、後期からの転入学生も多く、特に今回は女子のほとんどが初顔合わせとなりましたので表情が少々硬めです。そこで最終兵器の投入、スイーツ+女子=笑顔の方程式はやはり健在でした。

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